2008年7月11日「和歌山人気旅館放火事件」において
放火の容疑で逮捕された三好なるみさん。
旅館の経営者である彼女には放火の動機もなければ、直接証拠もありません。
この事件の真相は何なのかを考えていきたいと思っています。
■■ 事件の概要 ■■
2008年5月21日和歌山県串本町にある離れの旅館、御宿夏祭りで火事が起きた。
この宿は4棟の離れの部屋のみの宿で、101号室、102号室は全焼したが
103号室、104号室は室内にあった布団の燃焼のみで消し止められた。

それぞれの部屋には着火装置が仕掛けられていたため警察は放火事件として捜査を開始した。
この御宿夏祭りはテレビ雑誌などで取り上げられる有名な宿であり、当時和歌山でも話題になった。
またこの宿を経営する三好さんの近辺では2008年2月以降これまで6件の不審火が起きていた。
警察は7月11日に非現住建造物等放火、同未遂として経営者の三好なるみさんを逮捕するが
三好さんは現在まで一貫して無実を主張している。

警察は動機について保険金搾取を目的とした犯行としたが三好さんは抵当権が付いており
保険金は入らないし、儲かっている宿を燃やす必要もないと一貫して犯行を否認し
犯人は別にいると主張。
また6件の不審火については三好さんのアリバイが成立しているため起訴にも至らなかった。

結局、起訴はこの夏祭りの放火の件に、ハローワークから助成金30万円をだまし取ったという
詐欺容疑が加えられた。
詐欺容疑についても三好さんは事実と違うと無実を主張している。
しかし直接証拠も自白もないまま一審は放火、詐欺とも有罪認定し懲役6年。
控訴審も1審判決を維持した。
現在は最高裁に上告中。

この事件に付随して2010年9月に三好さんの父親が担当検事を刺傷するという傷害事件が起きた。
父親は検事の「でっち上げ」を糾弾し娘の無実を訴えていた。
この事件は懲役3年8カ月が確定している。
≪疑問点≫
連続6件の不審火と本件の関連はないのか?
三好さんの経営する宿は2008年1月〜2月にかけて従業員の大量退職があってから次々と不審火が起きている。
通常ならば、一連の不審火と本件放火についての関連が考えられるが、
この一連の不審火についてはほとんどの場合、三好さんにアリバイが成立している。
共犯もない中、犯行は不可能だ。
ではこの不審火の原因は何なのか?

1月5日〜2月11日 10名ほどの従業員が退職

2月11日 (三好さん経営の宿)ネピアル食堂での火災

2月17日 ネピアル客室全焼
      (三好さんは夏祭り101号室に宿泊中)

2月23日 ネピアル管理人室火災
       (串本町内で買い物中)

3月27日 夏祭りの裏手の畑で火災
       (夏祭り104号室で入浴中)

4月1日  (三好さん経営の宿)田村市・かぐや姫全焼
       (東京出張中)

4月13日 (三好さん経営の宿)リージェンシー従業員寮での火災
       (兵庫県西宮市滞在中)

5月21日 本件 夏祭りの火災

動機の不存在
一審判決は「本件で放火された101号棟ないし104号棟には4000万円の
笠井保険がかけられていたので被告人が保険金を手に入れるために
本件放火に及んだ可能性は否定できない」としている。

ところが、この夏祭りには抵当権が設定されいて、火災保険が支払われたとしても
抵当権者(銀行)へ保険金が渡ることになるのだ。

また夏祭りを始め三好さんの経営する宿は雑誌やテレビにも取り上げられ、
売り上げは順調に伸びていた。
三好さんによれば「なんで利益の出ていてる宿にわざわざ放火する必要があるのか?」ということだ。

総売り上げ(12月〜翌11月までの1年、11月末で〆)
2003年 5157万9497円 ネピアル12カ月分、(9月オープン)夏祭り3カ月分
2004年 9004万4146円 ネピアル、夏祭りともに12カ月分
2005年 1億4186万9283円 ネピアル、夏祭りともに12カ月分、8月オープンかぐや姫、リージェンシー4カ月分
2006年 2億192万1520円  ネピアル、夏祭り、かぐや姫、リージェンシー、12カ月分
2007年 2億8578万8000円 ネピアル、夏祭り、かぐや姫、リージェンシー、12カ月分 
                5月オープン リージェンシーsv−x ホテル白浜 ともに7カ月分

夫の失踪
三好さんが逮捕された後、夫は離婚届を勝手に提出し音信不通になった。
ちなみに三好さんは再婚で夫とは事件前年の12月に結婚したばかりだった。

三好さんにかけられた2億円の保険金
三好さんの知らないうちに2億円の保険金が掛けられていた。
受け取りは会社が半分、夫が半分だった。

命を狙われていた?
一連の不審火で三好さんは命の危険を感じていた。
「3月27日の火事は入浴中だったのでもし風向きが違っていたら私が死んでました」
「4月1日の火事はかぐや姫に宿泊する予定になっていたのを
前夜急きょ変更して東京に行くことになったので免れました」という。
また彼女自身、この時期に暴漢に襲われたこともある。
彼女のお母さんはまだ彼女の身の危険を感じているため「拘置所の方が安全だ」と言っているそうだ。

彼女自身が自分の宿に放火したところで何も利益はない。
また本件前の火災や嫌がらせは何だったのか、全く説明がつかない。
こういったことからこの事件はえん罪が強く疑われる。


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